一人の男が出て来てこう言うのだ。
「頭蓋骨を墓に戻せ」と。
話した事も会ったこともない人物が僕の夢に出て来ることは可能なのだろうか。
しかし彼には思い当たる節がある。
何故ならエミルにそっくりだからだ。
毎晩、彼が出る頃になると身体が氷のように動かなくなる。 彼は寝室のドアを静かに開け、僕の枕元に駆け寄り、 寝ている僕に向かって「今すぐ頭蓋骨を棺桶に戻すんだ」と言うのだ。
一瞬、この出来事が現実ではないかと錯覚する。
しかし、現実であるはずがないのだ。
何故ならその男は、そう言った直後、
目の前でふっと消えてしまうんだ。
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