小説家の家は、深い森に建っています。
鳥をつかまえるために、網の付いた棒や、
テーブルクロスなどを抱えて、3人は森の中を探し歩きます。

やがて3人はばらばらになり、小説家はいつのまにか一人になっていることに気がつきました。

 

 




「はぐれちゃったなぁ。みんなどこに行ったんだろう?」
辺りを見張りますが、木が生い茂っているだけです。


そのときです。

 

 

♪・♪♪・♪―〜〜♪・♪・・・

 

 





聞き覚えのある歌声がすぐ近くで聞こえました。

この歌が歌えるのは、小説家の鳥だけです。




歌声の方へ向かうと、一件の白い家が建っていました。
間違いなくこの家から聞こえて来ます。

 

 

「ごめんくださあい」


歌声がぴたりと止みました。

 




「誰かいませんか?鳥を探しているんです」
小説家は、できるだけ深刻そうに、目の前の家に向かって叫びました。


「誰ですか」

すぐにドアが開きました。




そこに立っていたのは、小柄な男でした。



その男が出て来るなり、
小説家は驚愕してしまったのです。
なんと、男の顔は、
鏡を見ているかのように自分と瓜二つなのです。

 

 

 

「ここに、鳥が飛んで来ませんでしたか?
先程、鳥の声を聴いて、 辿り着いたのがあなたの家でした。
あれは僕の鳥なんです。お願いです、返してくれませんか?」


小説家は、もう一度優しく尋ねました。


どんな鳥?」

家の住人の白い男は、はいどと同じように優しく聞き返しました。
声も、小説家とそっくりです。


「真っ白で、赤いくちばしが少し割れてるんだ。」


白い男は、激しく瞬きを繰り返すと、思い付いたように言いました。
「あぁ、さっきつかまえたんだ。」

「本当!?ありがとう!連れて帰らなきゃ!」
しかし、白い男はずっと小説家をみているだけです。

たまらず小説家は急かします。

「鳥を見せて?」


それでも家の住人は変わることなく小説家をみつめるだけです。

やがて口を開きました。


「ただし、僕と友達になってくれないと駄 目。鳥は返さない」


白い男は目を細めてにっこりとほほ笑みました。
その笑顔は、まるで天使のようでした。