小説家は、自分の家に帰ることができました。
無事に帰れたのは、白い男に、森の抜け道を教えてもらったからでした。
ふと、鳥を飼っていた鳥籠が目に入りました。
宿主のいない鳥籠は、とても寂しげでした。
帰る間際に白い男が言っていた、友達になる条件、それは、
『あの家で、二人だけで毎晩夕食を食べること。』
夕食の時間は19時で、早くても遅くてもいけない。
小説家は、白い男がなぜこんな奇妙なことを言うのか、わかりませんでした。
そもそも、白い男自体が奇妙で、
もしこの約束をやぶったらどうなるのか、 考えるのも恐ろしいくらいでした。
しかし、大切な鳥のために、小説家は白い男の家へ行くことを決意したのでした。
「やあ、よく来てくれたね」
「今日はひき肉のパイだよ。召し上がれ」
「いただきます。」
無言の夕食が始まりました。
夕食の全ては白い男が調理したものでした。
味は良く、息を飲む程の絶品でした。
こんな上出来の料理を毎晩食べることに苦痛は感じませんでした。
しかし、白い男は、
小説家をみつめながら食事をするのでした。
これには小説家も憂鬱にならざるを得ませんでした。
翌日、小説家の家に友達が尋ねてきました。
「やあ、一日ぶり!元気?」 背の高い男が言いました。
「きみこそ元気?森ではぐれたから心配だったよ」 小説家もそれに答えます。
「今日はまとめ役がいないんだ」 やせっぽちの男が言います。
「どうして?」
「さあ?買い物にでも行ってるのかな。」鳥を探してくれた3人は小説家の友達でした。
ほぼ 毎日、4人で遊んでいるのです。昨日はめずらしく遊びには行かない日でした。
「今日はどこかに行く?」
「ごめんね、僕は19時に約束があるんだ。それまでならいいけど。」
白い男とのもう一つの取り決め。
『2人で食事をすることを人に言わないこと。 』