その晩、小説家が食卓に座って夕食を待っていると、
台所から大きなお鍋をかかえた白い男が出てきました。
「今日はえらく量が多いね?僕の他にお客さんでも来るの?」
小説家はいじわるそうに聞いてみました。
「君の他に友達なんかいないよ。手にいれた材料は、
その日のうちに料理しないと悪くなるから」
と、言って白い男はシチュー皿にチョコレート色の液体を流し込みました。
今晩はビーフシチューでした。
白い男の家でビーフシチューを食べた翌日、
小説家は一日中眠ってしまっていました。
いつもは誰かが尋ねて来て、起こしてくれるのに、
気がついたら、18時を回っていました。
小説家は胸騒ぎがしました。
でも、そうこうしているうちに、あっという間に19時です。
小説家は重い足取りで白い男の家に向かいます。
「やあ、待ってたんだよ。料理が冷めちゃう。さあ、そこへかけて。」
テーブルに並んでいたのは、ハンバーグでした。
「今日の材料はやせっぽちだったんだ。」
「!」
小説家は凍り付きました。
まさか。 まさか。
「だから食べられる部分があまりなかった。今日のハンバーグは小さいよ。」
白い男はそう言って、食事を始めました。
小説家は、恐ろしくて声も出ませんでした。「どうしたの、がっかりした?」
「どうしてこんなこと…?」
「何が?」 「背が高い彼がいなくなったら、その日はお鍋いっぱいのビーフシチュー。
今日はやせっぽちがいなくなって……少しのハンバーグ?」「他の友達の話なんかしないでよ」
「一人来なくなって、次の日もう一人が来なくって…今日は3人目も来ないんだ。」
「何言ってるの?」
白い男は、笑顔で、小説家にこう言うのでした。
「じゃあ明日は小鳥のソテーにしてあげる。」
小説家は、だんだんと気が遠くなっていきました。